2022年度4月以降の帰化許可要件の改正点

帰化申請するためには、国籍法で定められた要件をクリアしなければならないのですが、2019年5月の永住申請の審査基準の厳格化に伴い、永住申請より帰化申請の方が要件的に厳しくないとの風評が流れたこともあり、永住申請要件とのバランスを図る観点から、2022年4月以降、帰化申請の許可要件がより厳しくなってきましたので、ここでより厳しくなった許可要件についてご説明します。


1.基本的に年収要件として300万円以上が必要になりました。

2022年4月以前は厳格に年収300万円以上必要という明確な基準はありませんでしたが、2022年4月以降は基本的に年収300万円以上必要というのが一つの基準として設けられました。絶対的に300万円以上ないといけないというわけではありませんが、一つの大きな審査の目安とされるようになりました。


2.在留カードの在留期間が1年の場合は受付されない

2022年4月以前は在留カードの在留期間が1年の場合でも帰化申請の受付はできました。(しかし、帰化が許可されるのは受付後、基本的に在留カードの更新をして在留期間が3年以上になってからがほとんどでした)。しかし、2022年4月以降は基本的に在留カードの在留期間が1年の場合は帰化申請の受付自体が出来なくなりました。


3.交通違反は過去5年間の中のどれか2年連続で見た時に3回以上あれば許可されない

素行要件としての交通違反に関しては、2022年4月以前は軽微な違反であれば5年間合計で5回くらいまでなら許可されておりましたが、2022年4月以降は過去5年間のどこかの連続した2年間で軽微なものでも3回以上違反がある場合は許可されなくなりましたので、書類提出時に判明した場合は受付されなくなり、事前相談時に分かった場合は過去5年間の交通違反からその事実が消えるまで帰化申請を待つように指導されるようになりました。


4.年金や健康保険に関する審査も厳しくなりました

2022年4月以降、年金や健康保険に関する審査も厳しくなりました。長年、厚生年金や社会保険に加入されている方は従来通り毎年送られてくる年金定期便の提出や保険証のコピーだけで大丈夫ですが、法務局によっては申請後に提出を要求するのを見越して初めから世帯全員の過去からの年金支払いの状況が分かる書類を年金事務所から取り寄せさせるところも出てきております。また、65歳以上の方が帰化申請する場合や、同居家族に65歳以上の方がいらっしゃる場合は、その方の1年間の国民健康保険料や介護保険料の支払いを証明する領収書等の提出も必要になりました。


5.犯罪を犯し、執行猶予判決を受けた場合の要件変更

この要件に当てはまる方はあまりおられないと思いますが、犯罪を犯し、執行猶予判決を受けた場合、従来は、執行猶予期間の倍の年数が過ぎれば帰化申請できていましたが、2023年春以降は帰化申請ができるようになる時期が執行猶予期間の4倍の期間を過ぎてからでなければできないように変更されました。

このように2022年4月以降、生計要件や素行要件を中心として帰化申請の許可要件が厳格化されてきております。今後もさらなる帰化許可要件の変更や提出書類等の変更などがあると思われますので、最新の情報を確認しながら帰化申請手続きを進めていく必要があります。


当事務所では常に最新の帰化許可情報の入手をしながら帰化申請手続きをしておりますので、安心してお任せください。



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