帰化するためには、これからご説明する7つの条件が必要です。この7つの条件全てがクリアされている方が、原則日本国籍取得が可能となります。
一つでも条件が満たされていない場合は、不許可になります。ひとつ一つ確認されながら、ご参考にして下さい。
帰化の条件1 居住条件
◆ 引き続き5年以上日本に住所を有すること
帰化を申請するまでに、引き続き5年以上日本に住所を有することが基本的な条件になります。
ただし、この5年間の期間の中で、日本を出国していた期間が、おおよそ連続90日以上ある場合、または1回の出国が90日より短くても年間を通して通算しておおよそ150日以上ある場合は、それまでの在留期間が引き続きと見なされない可能性が高くなりますのでご注意下さい。
この場合、在留期間は改めてゼロから数え始めなければならなくなります。
また、この5年間はアルバイトではなく、就職して正社員、契約社員、派遣社員として就労系の在留資格を取得して働いている期間が3年以上必要です。
ただし、例外として10年以上日本に住んでいる場合は就労期間が1年以上あれば条件を満たすと判断されることがあります。
◆ 日本と特別の関係を有する外国人
主に在日韓国人、朝鮮人、台湾出身者(特別永住者)の方々や日本人と結婚している方など(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法6条から8条まで)。
① 日本人だった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する
② 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれたもの。
③ 引き続き10年以上日本に居所を有するもの。(原則、就労期間は必要ありません)
④ 日本人の配偶者で引き続き3年以上日本に住所を有し、現在も日本に住所を有しているもの、または
⑤ 日本人の配偶者で婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所を有いているもの。(過去にオーバーステイで在留特別許可を取ったことがある人が、日本人と結婚した場合は、在留特別許可を取った日から10年以上経過している必要があります。)
⑥ 日本人の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの。
⑦ 日本人の養子になり引き続き1年以上日本にいて、養子縁組の時、本国法により未成年であったもの。
⑧ 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの。
⑨ 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの。
帰化の条件2 能力要件
◆ 18歳以上で本国法によって行為能力を有すること
帰化を申請するためには、18歳以上であって本国の法律でも成人の年齢に達していることが必要です。ただし、未成年の子供が父母と一緒に帰化申請する場合は18歳になっていなくても帰化できます。
帰化の条件3 素行要件
◆ 素行が善良であること
「素行が善良であること」も帰化の条件となっています。
具体的には犯罪や交通違反などがないか、税金や年金をしっかり納めているかなどが考慮されることになります。通常の日本人と同じように、社会の中で生活できるかどうかが判断されます。
◆ 税金
サラリーマンの方は住民税に注意が必要です。給料から天引きされていれば問題ありませんが、天引きされていない方はご自身で申告して支払う必要があります。結婚している方は、配偶者の分も納税証明書が必要です。滞納していると審査が通りません。
住民税で注意してほしいのが扶養者です。税金を安くする目的で本来扶養に入れることができない配偶者や本国の両親を扶養に入れてしまっている方がおられますが、これも不許可となります。これらの場合、修正申告をすれば大丈夫です。
会社経営者や個人事業主の場合は、法人税や個人事業税を払っていることが必要になります。
◆ 年金
2012年の法改正で年金を払っているかどうかもポイントになりました。
サラリーマンの方は給料から厚生年金が天引きされていれば問題ありませんが、天引きされていない方は、国民年金を支払っている必要があります。支払っていない場合は、とりあえず直近1年分を支払うことで要件を満たすこともできます。
会社経営者の場合は、会社として厚生年金保険に加入して保険料を納める必要があるなど、さらに要件がありますので、詳しくは当事務所にお問い合わせください。
◆ 交通違反
過去5年間の違反経歴を審査されます。駐車違反やシートベルトなど比較的軽微なものであれば目安として5回程度までなら問題ないでしょう。
ただし、飲酒運転や人身事故などを起こしている場合は、ある程度の期間が経過しないと帰化申請は通らないことになります。
◆ 前科・犯罪歴
窃盗、暴行、傷害などで罰金刑を受けたような場合には、一概には言えませんが、ある程度の期間が経過していれば審査が通ることもあります。
◆ 破産者
過去に自己破産した人は、復権してから7年以上経過していれば、問題ありませんが、その期間が経過するまでは、帰化申請しても素行要件上の不許可要件となります。
帰化の条件4 生計条件
◆ 自己または生計を一つにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
いわゆる経済力の問題です。自分または一緒に住んでいる家族の収入で生活することができるかということも帰化の条件となります。
貯金の額よりは、安定した職業について毎月一定の収入があることの方が重要です。
給料の額としては、目安として最低月額18万円以上あれば、要件を満たしていると判断されます。
正社員でも契約社員でも派遣社員でも問題ありませんが、現在失業中の方は、安定的に収入が得られない状態ですので、就職して収入が得られるようになってから申請を考えて下さい。
クレジットカードなどの借り入れは、滞納せずに、きちんと返済していれば基本的には、問題ありません。
帰化の条件5 喪失条件
◆ 国籍を有せず、または日本の国籍を取得によってその国籍を失うべきこと
日本は二重国籍を認めておりませんので、日本に帰化することで、自分の元の国籍を失うことができる事が条件とされます。
ただし、国によっては国籍の喪失を認めない国もあります。この点、特別の事情がある場合には、上記の要件を満たさない場合であっても帰化が認められるとされる場合もあります。
帰化の条件6 思想条件
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したりする者、またはこれを企て、主張したりする団体を結成したり、加入しようとしている者は帰化が許可されません。
帰化の条件7 日本語能力条件
日本人として生活していくために、最低限の日本語能力(読み、書き、話す)が要求されます。
目安としては、小学校3年生以上のレベルがあれば問題ないとされています。日本語能力3級くらいあれば全く問題はないと思いますが、一応テストがあります。
いかがでしたでしょうか?これらの条件をクリアできそうでしょうか?
帰化申請の場合、本国からの各種証明書の取り寄せから始まり、膨大な量の書類を収集、作成して提出することになります。
そのため、個人で申請しようとしても書類の収集と作成に大変な労力と時間を費やし、仕事や家事の合間をぬってということではなかなか作業が進まないようです。
当事務所では書類作成代行、お客様が作成された書類のチェック、動機書の作成など帰化申請に必要な様々なサポートを行っております。帰化申請のことでお困りのことがありましたらお気軽にご相談下さい。